Column

Jazz on The Scene /クインシー・ジョーンズ「セレブレーション・アット・モントルー2008」

杉田宏樹

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数々の音楽メディアで活躍する評論家の杉田宏樹が、
トップアーティスト達の映像作品をご紹介します。

6月25日にポップス界のスーパースター、マイケル・ジャクソンが、米ロサンゼルスで他界した。50歳という若さだった。60年代にファミリー・グループのジャクソン・ファイヴでデビューするや、一躍人気が沸騰し、グループ名をザ・ジャクソンズにした70年代を通じてヒット曲を連発。リード・ヴォーカリストのマイケルはスターの座を獲得したのだった。

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<セレブレーション・アット・モントルー2008より>

マイケルがステージ・アップしたのは何と言ってもソロ名義で活動を始めてから。79年作『オフ・ザ・ウォール』がサクセス・ストーリーのスタートであり、プロデューサー=クインシー・ジョーンズとの出会いがその最大の要因だと言っていい。マイケル~クインシーのコラボレーションは次作『スリラー』で頂点を極める。全世界で1億400万枚のセールスを記録したギネスブック認定アルバム。マイケルの歴史的な成功はクインシーの功績による部分が大きかったことを、改めて認識しておくべきだろう。

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<セレブレーション・アット・モントルー2008より>

マイケル急逝の翌日、クインシーは公式サイトで以下のコメントを発表した。「私はこのような悲劇的で予期せぬ知らせを受けて、本当に打ちのめされています。マイケルにとっては、まだ若くして突然私たちの前からいなくなってしまったのですから、言葉が見つかりません。その神々しさは映画『ウィズ』での魂が通う共演をもたらし、80年代を通じての仕事を可能にしました。今や『オフ・ザ・ウォール』『スリラー』『バッド』でマイケルと共に創った音楽は、世界中で演奏されています。そのわけは彼が特別な才能、優雅さ、プロフェッショナリズム、献身のすべてを兼ね備えていたからです。完全無欠のエンターテイナーであり、その貢献と遺産はこの世で永遠に享受されるでしょう。今日、私はこの弟を失い、私の魂の一部は彼と共に去っていったのです」。

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<セレブレーション・アット・モントルー2008より>

予期せぬ形でクローズアップされたクインシーは、昨年のモントルー・ジャズ祭で生誕75年の記念コンサートを行っている。その模様を収めたDVD作が『セレブレーション・アット・モントルー2008』だ。1950~90年代にわたる足跡をカヴァーする選曲と、豪華絢爛な出演者は、クインシーのお祝いコンサートにふさわしいラインアップ。ハービー・ハンコックが入魂のソロをとり、トゥーツ・シールマンスがクインシーとの友情を滲ませ、チャカ・カーンがシャウトする。ラスト・ナンバーの「スタッフ・ライク・ザット」では参加メンバー全員がステージに登場して、クインシーの偉業を湛える。感動的なシーンだ。まさに映像版「ベスト・オブ・クインシー」と呼ぶにふさわしい濃密な2枚組である。
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<クインシー・ジョーンズ>セレブレーション・アット・モントルー 2008

アーティスト:クインシー・ジョーンズ

DVD(2枚組)

価格:5,250 円

発売:2009/07/22

商品番号:YMBA-10020/21

フォーマット、収録時間:2DVD、約178分、DTS & Dolby 5.1/PCM Stereo、16:9


世界的なディスコ・ヒット「愛のコリーダ」に代表されるように常に時代の先端を切り拓いてきたアーチストという評価はもちろん、マイケル・ジャクソンの「ビリー・ジーン」等ポップ・ミュージックの歴史を変えたコンテンポラリーな作品を、60-90年代を通し、世に送り出し続けてきたプロデューサーとしての功績において<ゴッドファーザー>とも位置付けられるクインシー・ジョーンズ。この映像はクインシー75歳のバースデイ記念として企画された2008年のスペシャル・コンサートを、DVD2枚組/全30曲/178分のヴォリュームで収録した内容。ハービー・ハンコック、ジョー・サンプル、リー・リトナー、ネイザン・イースト、グレッグ・フィリンゲインズ、パティ・オースティン、チャカ・カーン、アンジェリック・キジョー…etc.主にジャズ/フュージョン、ソウル界から招かれたスーパースター達が、クインシーがこれまで手がけてきたヒット曲を次々と演奏していく展開はとにかく圧巻だが、中でも「愛のコリーダ」「ホワッツ・ゴーイング・オン」「イフ・アイ・エヴァー・ルーズ・ディス・ヘヴン」「スタッフ・ライク・ザット」などは、既発のDVD作品『ライヴ・アット・モントルー 1997』(VABG-1258)にも取り上げられていない楽曲の貴重なライヴ演奏となる。

【メンバー】
ハービー・ハンコック(1-①⑩, 2-⑫)、パティ・オースティン(1-①③④⑯, 2-③⑪⑫)、ラサーン・パターソン(1-②⑱, 2-⑫)、フリーダ・ペイン(1-⑥⑦, 2-⑫)、ジョー・サンプル(1-⑥⑦, 2-⑫)、アル・ジャロウ(1-⑩, 2-④)、ペトゥラ・クラーク(1-⑪⑫, 2-⑫)、ナナ・ムスクーリ(1-⑭⑮, 2-⑫)、チャカ・カーン(1-⑯, 2-①⑫)、パトリス・ラッシェン(1-⑰, 2-⑫)、トゥーツ・シールマンス(1-⑰⑱)、リー・リトナー(2-①②)、アンジェリック・キジョー(2-⑦⑧⑫)、ビリー・コブハム(2-⑪⑫)、モンティ・アレクサンダー(2-⑫)、グレッグ・フィリンゲインズ(ハウス・バンド)、ポール・ジャクソン・Jr(同)、ネイザン・イースト(同)、パウリーニョ・ダ・コスタ(同)…etc.

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杉田宏樹略歴

音楽評論家。1960年東京生まれ。上智大学文学部英文学科卒業。「スイングジャーナル」ディスクレビューアー、朝日新聞社「ジャズストリート」のレギュラー執筆、衛星デジタルラジオ「ミュージックバード」パーソナリティ等、ジャズ関係の仕事を多角的に展開。著書は「ビル・エヴァンス・ディスコグラフィー」、「ヨーロッパのJAZZレーベル」「ジャズ魂」など。ジャズ・ディスク大賞選考委員。ミュージック・ペンクラブ・ジャパン会員。